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かなりマニアックな内容なので、英語教育によほど興味のある人以外にはおススメしません。
「外国語教育法や、教科書の歴史、英語教育の雑誌の変遷や外国語教育の国策の移り変わりが知りたい!」
という人にはぜひぜひおススメです。
わたしはとっても楽しみました。★5つです!
本の帯に「日本の英語教育はそんなにダメなのか?」とあるのもたいへん興味深い。
マニアですから、はい。
一般向けには、幕末の日本人の異国人に対する対応がおもしろい、ということをお伝えしましょう。
著者の伊村元道氏があえてそのときの様子を原文で載せているのがありがたかったし、興味深かったです。
以下要約。
1808年(文化5年)ー黒船到来の50年ほど前ー8月15日早朝、長崎湾に異国の不審船が現れます。その日の夕方近く、その不審船はオランダ国旗を掲げたまま港内に侵入、そして投錨。中国・オランダ以外と国交はなかった日本でしたので、オランダの国旗をもっているということだし、と、オランダ船と確認するため入国審査の役人と通訳、そしてオランダ商館員を派遣しました。ところが異国船はその中のオランダ人2名を捕らえて人質に・・・
そのときの日本側の反応。
以下抜粋。
奉行は激怒して「紅毛人たりとも、在留の者なれば日本人同然たり。死力を尽くして取り戻せ!」と叱責した。
奉行は激怒して、「いくら毛の色が違うといっても、日本に留まるものの身。日本人同然と考えてしかるべきである。死ぬ気で取り戻せ!」という具合でしょうか。
そのときの幕府のあわてふためき加減が手に取るようにわかり、ついついニヤリとしてしまいました。
実はこの不審船、オランダからではなくイギリスからの偵察船であった、という結末。
★★★
第3章「カナ発音はどこまで通じるか」によると、
明治人は英語でこういったそうです。
「ヘー・コメス・ヘーレ・ソメチメス」
どんな意味だかわかりますか?
実は、"He comes here sometimes."
だそうです。
絶対わかりませんよね!!
当時の通訳者たちの苦労はどんなものだったのか。コミュニケーションが本当の意味でとれたのかどうか、そんなことを考えてしまいました。きっとミスコミュニケーションの連続だってことでしょう。想像するとぷっと笑えます。
★★★
ジョン万次郎について
伊豆諸島で漂流した日本人少年がアメリカの捕鯨船に救助されました。その後、船長から気に入られアメリカの東海岸まで行き、高校まで行かせてもらった、という話。
船長は、最年少の彼を親しみをこめて「ジョン万」と呼んでいたそうです。
でもちょっと待って!
これ、アメリカ発音で考えたら、
"John Man"
ですよね? 「よっ!男ジョン万次郎!」という感じに聞こえてしまうのは私だけでしょうか?
"Hey, John Man! Come over here! I will show you somethin' "
といったような、船長が彼をかわいがるシーン。頭の中をかけめぐった瞬間でした。
★★★
本の全体として、とても興味深く丁寧に英語教育の歴史的背景から変遷までしっかりまとめてあります。さきほどもいったようにわたしは★5つあげたい。
日本人は江戸時代の頃から英語そしてオランダ語の文にカタカナ発音を書き、その通り発音していたこと。当時は発音記号がまだ発展してなかったので仕方がありませんが、もうそろそろ21世紀のわたしたちはやめたほうがいいでしょうね。発音記号で発音を学ぶべきです。
それから、英語学習への目標は100年くらいずっと変わっていない、ということ。それにも関わらず、日本という国が目標を達成できずに来てしまいました。何が悪いのか。これからどうしたらいいのか。変えたい、と思うけれど、今の英語一辺倒、受験英語重視、英文訳読法と文法学習への偏りはどう変えていけばいいのか。
英語教育に対する日本語教育の位置は?
文法はまったく教えなくていいのか?
受験英語は英語習得にとってのガンなのか?
などなど疑問はまだまだ残りますが、筆者の鋭い見解を読むと、そういう考えもあるよね〜と考えさせられます。
最後に、夏目漱石や津田梅子など、歴史的な有名人の書いたものが日本語も英語もところどころ原文でのせてあるということも個人的にたいへん興味深く読ませていただきました。
★★★
おまけですが、幕末のオランダ通詞たちの生活、考え方、外国語に対する努力や心構えなどをこの本で知り、とても興味深かったです。幕末の話が好きなわたしは、
「だれか幕末のオランダ通詞たちを描いた小説またはドラマか映画を作ってくれないかな〜」
と勝手に期待しています。
ドラマや映画だったら脚本は古沢良太さんか三谷幸喜さんがいいな。
NHKさん、大河ドラマにどうですか?
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